EXECUTIVE SUMMARY
- 株式会社PICKは、不動産特化型電子取引サービス「PICKFORM」を開発した企業。「PICKFORM」は、国土交通省マニュアルと宅建業法に完全対応した不動産取引の特価サービスで、国土交通大臣認定を得た唯一のシステムである。しかし、業界の商慣習やITを忌避する機運もあり、導入推進には困難が伴っていた。
- プルーセルは、同社が資金調達に成功した2023年3月から事業に参画。それまでのアポイント率を3倍に引き上げただけでなく、受注件数は30倍に。VCの投資家も「不動産・建設業界でよくこれだけのリード数を」と感嘆するほどの結果を打ち立てた。マネージャー向けの社内研修も実施し、社内の意識改革にも寄与している
《お話を伺った方》
株式会社PICK
代表取締役社長兼CEO 普家辰哉さま(以下、普家)
執行役員 CRO 阿部幸平さま(以下、阿部)
《インタビュアー》
株式会社プルーセル
ディレクター 福山駿
セールスマネージャー 朝比奈聖海
Company profile
「不動産取引を快適に、オープンに」をミッションとし、不動産取引をオンライン上で適法に行える不動産電子取引サービス「PICKFORM」を2022年8月に正式リリース。不動産・建設事業の入口でもある売買や賃貸の契約は、とても複雑であり顧客への負担も大きい。契約業務における負荷を取り除き、不動産取引を、ひいては不動産・建設業界の活性化に寄与するのが同社のねらいだ。「PICKFORM」に続き、2023年9月には「契約書作成代行サービス」を正式リリース、同年11月には三井住友海上と提携し、電子契約サービス上での火災保険紹介を可能にするなど、不動不動産取引の新しい価値提供を目指すPICKの挑戦は続く。
https://pick-hp.com/index.html
「このままだと倒れる」一縷の望みを賭けた依頼
■ 御社がプルーセルにご依頼いただいた経緯について教えていただけますでしょうか。
普家:簡単に言うと、プルーセルさんの親会社であるリブ・コンサルティングさんの紹介でした。当社が顧客とする不動産・建設業界に強いと聞いて、一度話を聞いてみようと代表の権田さんにお会いしたんです。
阿部:権田さんとお話しした時に、その理解の深さに驚かされました。スタートアップにまつわるあらゆる物事に通じていて「ぜひ、一緒に仕事をしたい」と思ったのですが……立ちはだかったのが費用の面です。
■ 当時は、別の代行会社さんにもご依頼されていたそうですね。
普家:正直にいうと大失敗でしたね。事業立ち上げ時に紹介され、よく比較もしないまま、とある企業に営業代行をお任せしてしまったんです。一向に実のあるアポイントが上がってこないので、貴重な予算を無駄にしてしまいました。
■ 全く受注に結び付かなかったということでしょうか。
普家:その会社経由で、というとそうですね。受注そのものは、紹介営業を並行していたのでそれなりの件数は上がっていました。ただ、サービスを必要とする顧客層の分析ができず、セグメンテーションがなかなか進まなかったのです。
■ 営業を内製化することは考えなかったのでしょうか。
普家:もちろん考えました。我々も、架電やレター、さらには飛び込みをしたりもしたのですが……片手間ということもあり、なかなか成約に結びつきませんでした。ですが、新規開拓のための社員を採用・教育しても実際に戦力になるまで3~4ヶ月はかかります。事業がスタートしたばかりのこの時期に、空白期間を作るのは避けたいという思いがありました。
■ しかし「営業代行」というくくりで見ると、別会社とはいえ、営業を外注することについて社内で反対があったのではないでしょうか。
普家:この状況でプルーセルさんにお願いしたいと社内で協議しても「また営業代行を?」と強い懸念があったのは事実です。依頼している営業代行会社が、当社と合わないだけかもしれない……かといってプルーセルさんから提示された金額を支払えるのか……そう悩んでいた矢先のことでした。営業代行会社がトラブルを起こして契約違反で解除になり、さらにVCからの資金調達に成功したんです。
■ まさかのタイミングですね。
普家:「これで駄目ならもう外注はしない」と一縷の望みを賭けて、まずは3か月間だけプルーセルさんと組むことにしました。2022年の12月のことです。
成果は「大満足」!商談の場で「ようやく勝負できる」と感じられた
■ 大変なご決断をいただき、ありがとうございます。プルーセルの支援はご期待に沿うものだったでしょうか。
普家:プルーセルさんの最初のアポイントをいただいたのは2日目でした。「もう取れたの!」と驚いたことは今でも覚えています。さらにびっくりしたのは、客先で商談が進めやすかったことです。アポイントを取る段階で受注というゴールを見据えているのがわかりました。
阿部:プルーセルさんのアポイントは、どうすれば良いのかとてもわかりやすい。ヒアリングした内容のテキストをいただけますので、商談において何を話すべきか、誰が決定権者で、どう話を進めるべきか……相手の温度感を事前に把握して臨むことができます。
普家:アポイント件数は、確かに数値化できるわかりやすい目標ですが、大事なのはその中身です。訪問しても商談にならないようなアポイントでは、こちらも疲弊してしまいますからね。プルーセルさんのターゲット設定は明確で、当社の「PICKFORM」を使ってほしい、あるいは使いたいと考えであろう業界を、ちゃんと考えて架電しているというのがわかりました。
■ 数値化の話が出てきましたが、実際の数字については、どのように進展したのでしょうか。
普家:アポイント数は、前の営業代行から3倍になりました。以前の会社は 以前の営業代行会社さんのアポイントで伺ったところ、先方で「私の武勇伝」を3時間も聞いた挙句の空振りもあったりしたので、プルーセルさんの実のあるアポイントは本当に嬉しかったですね。
阿部:実際の受注数については、30倍もの成績を上げることに繋がりました。これも、確度の高いアポイントを取ってもらったおかげだと思います。
普家:アポイント先でちゃんと商談ができるようになったので「ようやく勝負できる」と感慨深かったです。それだけでなく「電子契約は難しいかも?」と思えるようなチャレンジングな営業もしてくれていました。おかげで当社のシステムを使う顧客に対しての解像度がぐんと上がったと思います。もし、プルーセルさんがいなかったら、今もずっと絵に描いた餅を追っていたかもしれません。
■ 3ヶ月後、更新のタイミングが来た時はどうでしたか?
普家:その時にはもう、プルーセルさんは我々にとってなくてはならないものになっていたので、更新一択でした。今では、経理部門からプルーセルさんに掛かる経費の件を指摘されても「プルーセルさんはわが社の生命線だから」と説明しているくらいです。
実はこのインタビューの前に、VCとの面談があったのですが「よくこれだけのリードを集めることができましたね」と高い評価を受けることができました。これもプルーセルさんのおかげです。
感覚ではない「営業の型」で成果を出すとともに組織の意識も変わった
■ プルーセルの伴走で、他に印象に残っていることはありますか。
普家:営業代行として、質の高いアポを取ってくれただけでなく、社内の意識を変えてくれたことです。私はもともとハウスメーカーから不動産事業を経て起業したので、自分なりの営業ノウハウを持っています。じゃあ、それを組織で再現できるかというと……チームメンバーへの教育が難しいと感じていました。
■ トップセールスは属人的になりやすくて、他の人に具体的に説明できないというのはあるあるですよね。
普家:プルーセルさんは、営業を「型化」して、新人でも成果を出せるように仕組み化しています。それを惜しみなく当社の中で研修してくれるので本当に助かりました。
阿部:私も前職では多くの研修やセミナーを受けたのですが、いわゆるマーケティング分野における概念的なものが多かったので、営業現場における実務的な研修はとても新鮮でした。
普家:「言われてみればやっていた」ことを改めて説明されると「こう教えればよかったのか」と自分にも気づきになりますね。例えば「アンカリング(先に情報や条件を与え、顧客の意思決定に影響を与える手法)」。プルーセルさんに教えられ今では社内で浸透し、皆当たり前のように使うようになっています。
阿部:漫然と話すのではなく、商談の最初にゴールの意識すり合わせを行う。確かに自分たちは当たり前にやっている超基礎的な部分です。それを、具体的に「型」として改めて見せてもらう。こうした積み重ねが2回目のアポに繋がっている手応えがありますね。
普家:営業のプロが心がけているポイントをひとつひとつ説明してもらうことで、見えない部分の意識改革についても、プルーセルさんが大きな役割を果たしていると感じています。
これからもずっと伴走してほしい存在
■ PICKさまの今後の展望を教えていただけますか
普家:当社はまだスタートしたばかりの企業です。現在は現場の業務負荷を減らすためのDXに取り組んでいますが、今後はもっと高度なCRM(顧客管理マネジメント)分野を経て、最終的には不動産・建設業界全体のDXを手がける存在になりたいと考えています。
■ PICKさまのこれからに、プルーセルは寄り添える存在になりうるでしょうか
普家:気持ちとしてはずっと伴走してほしいです、当社も中長期計画として営業の内製化を考えておりますが、質が伴うまでは時間がかかると思います。少なくともそこまではぜひ。
不動産・建設業界はIT化がとても遅れていて、システム化したくてもなかなか進まないSIM状があります。正直なところ、生半可な努力では浸透させるのは難しいでしょう。だからこそやりがいもあります。
■ ありがとうございます。最後に、プルーセルに向いているのはどのような企業だと思われますか?
普家:私が考えるに、資金があって即効性を求める企業ですね。質を求める以上、お支払いする金額が相応なのは当たり前かと思います。その前提を踏まえ、リード攻略に困難を感じているバーチャルな業界などがマッチするのではないでしょうか。「PICKFORM」をはじめ、当社のサービスもまだまだこれからです。より多くの方に向けて不動産取引のハードルを下げ、間口を広げられるよう、プルーセルさんと共に普及に努めたいですね。
本日はお忙しい中、たくさんお話いただきありがとうございます。これからも引き続きよろしくお願いいたします。
- UPDATE
- 2025.01.17