営業代行とは、営業活動の一部やすべてを外部の企業に委託することです。自社には内容や実績やノウハウがあることから、生産性を高めたり人材不足を解決したりするなどさまざまな効果を得られます。人材不足の解決やコスト削減、スムーズな新規事業の開拓などさまざまなメリットが多いことから、営業代行の市場規模は年々増加傾向にあります。
営業代行の市場規模
営業代行とは、営業活動の一部やすべてを外部の企業に委託することにより代行してもらうことです。営業代行を活用することにより、人出不足の課題解決をしたり、ノウハウ不足の解消をするなどさまざまなメリットがあります。そのため、高齢化や少子化が続く日本において、営業代行の需要度が高まっています。さらに、企業が持たないスキルを外部委託をすることで導入でき、新規事業をスムーズに進めることも可能です。
営業代行の市場規模が拡大する理由
営業代行の市場規模が拡大する理由には次の点が挙げられます。
- 深刻な人材不足
- BPOの需要向上
- 製品ライフサイクルの短縮
- リスクヘッジへの意識向上
深刻な人材不足
日本では他国と比較して少子高齢化が急速に進んでいます。生産年齢人口はピークである1995年を境に、総人口においても2008年を境に減少する傾向にあります。2015年の総人口は1億2,709万人、生産年齢人口(15歳〜64歳)は7,629万人です。国立社会保障・人口問題研究所の将来推計では、総人口が2030年には1億1,662万人、生産年齢人口は6,773万人まで下がると予測されています。
画像出典:情報通信白書 平成29年版(総務省)
総人口や生産人口の減少は長期的な経済成長に大きく影響するとしており労働の質や生産性を上げることが早急に求められています。
BPOの需要向上
営業代行の市場規模が拡大している理由として、BPO(Bussiness Process Outsourcing、ビジネス・プロセス・アウトソーシング)の需要が高まっていることが挙げられます。2021年度のBPO市場は2020年度と比較して前年比5.1%となっており、2026年にはさらに需要が高まることが予想されています。
2021年の同市場は前年比5.1%増の8,856億円となり、2021年~2026年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は 3.9%、2026年の同市場規模は1兆717億円と予測しています。
引用:国内BPOサービス市場予測を発表(IDC)
製品ライフサイクルの短縮
製品ライフサイクルが年々短縮されています。家電や食品といったもともとライフサイクルが短い商品だけでなく、自動車のような耐久消費財においても短くなっているのが近年の傾向です。そのため、企業は次の商品やサービスを短いスパンでリリースしたり、ほかの新しい事業に参入する必要があります。
特に、新しい分野において事業参入をする場合は莫大なリソースやコストが必要になります。そのため、新しい分野に特化した営業代行会社に依頼する方がコストを削減でき、ノウハウや経験があることから参入しやすいメリットがあるのです。
リスクヘッジへの意識向上
2006年のライブドアショックや2008年のリーマンショックなどの影響により長い不況に入りました。リーマンショックが起きた翌年の7月には、失業率が過去最悪の5.6%となりました。さらに、東日本大震災や新型コロナウイルスなど想像もつかなかったことが起き事業リスクに対して強い意識を持つようになりました。このことにより、専門家に依頼をする機会が増えるようになったのです。
国内のBPO市場規模
国内の2021年度のBPO市場規模は4兆5,636億9,000万円であり、前年比3.0%となりました。2020年以降毎年成長しており、今後も毎年増えていくことが予測されます。
参照:国内BPOサービス市場はコロナ禍の影響で成長率は鈍化傾向─IDC(IT Leaders)
国内のサービスBPO市場
2021年度におけるBPOサービスの市場規模は合計で4兆5,636億9,000万円となりました。このうちIT系BPO市場は2兆6,888億円となり前年比2.9%となっています。
画像出典:BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)市場に関する調査を実施(2022年)(矢野経済研究所)
2020年は新型コロナウイルスの影響により、外出自粛により経済活動が大幅に鈍くなりました。この状況に合わせて、リモートワークやデジタルトランスメーションの導入など業務改革を進める企業が増えたのです。
業務改革を進めるうえで人員の再配置など根本的な見直しを進める企業が増えたことが、BPO市場においても影響しています。さらに、民間企業だけでなく官公庁においてもアウトソーシングを使う機会が増えたことがBPOの市場をさらに拡大する要因となっているのです。
カスタマー分野
日本国内のカスタマーケア分野において、2021年度のBPO市場は前年度比5.5増となりました。新型コロナウイルスの影響によりさまざまな給付金やワクチン接種に対する対応などスポット案件が増えたことが挙げられます。それだけではなく、新型コロナウイルスの影響によりECへの取り組みやオンライン化が増えたことが要因となっています。
調達や購買分野
調達や購買BPOサービス市場において、2021年度は前年と比較して成長率は4.8%となっています。新型コロナウイルスの影響によりオフィス商品の取引は減りましたが、感染対策商品の取引は大幅に増えています。さらに、直接材に関してはDX(Digital Transformation、デジタルトランスフォーメーション)導入の取り組みの1つとしてBPOサービスを導入する企業が増えました。
経理分野
経理分野において、2021年度は前年比成長率が4.2%となりました。新型コロナウイルスの影響によりBPおサービスの導入が増えたのです。2022年以降もこの流れは続くとされています。
まとめ
営業代行をはじめとしてBPO市場は、新型コロナウイルスの影響が強まった2020年度から年々増加しています。この期間にそれぞれの企業が、運営の仕方を根本的に見直したことによりBPOの導入が増えました。このため、新型コロナウイルスの影響だけでなく、BPO市場は今後拡大していくと予想されています。
経営の仕方を見直す企業が増えたり外部環境が大幅に変化していることから、新規事業を始める企業が増えています。このため、自社にない人材やノウハウを活かすために営業代行を活用するケースがあるのです。商品やサービスにおいて差別化をするのがむずかしくなっている現在において、営業代行を活用することにより新たな事業に参戦することが今後も増えると予想されています。