営業代行とは、営業業務の中において指定した業務を外部の企業に業務委託することです。自社の営業担当者は業務負担が減ることから、担当する業務範囲を狭めて集中することが可能です。
さらに、自社にはないリソースを活用できることから人材不足やノウハウ不足などの課題解決にもつながります。そのため、新規事業や新商品の展開をする場合に活用するケースも少なくありません。現在多く企業が抱えている課題を解決できることから、営業代行の市場規模は年々拡大しています。
営業代行の市場規模
営業代行とは、営業業務におけるアウトソーシングでありテレアポから商談、コンサルティングなど代行会社によって提供するサービスが異なります。日本は長年、少子高齢化が続いたことによって人材不足が課題となっている企業は少なくありません。人材やノウハウなどリソース不足で新たな事業が出来ないケースもあります。さらには、人材育成に課題を持っているケースなどそれぞれ企業によって営業業務における課題が異なるのです。
そこで、それぞれの課題に合わせた営業代行会社を導入することで、課題解決につながります。そのため営業代行会社の需要は年々高まっています。
営業代行の市場規模が大きくなる理由
営業代行の市場規模が大きくなる理由として次の点が挙げられます。
- BPOの需要向上
- 継続する人材不足
- インターネットやスマートフォンの普及
- 営業業務効率化
- コスト削減
BPOの需要向上
BPO(Bussiness Process Outsourcing、ビジネス・プロセス・アウトソーシング)の需要が高まっていることが、営業代行の市場規模が拡大している要因の1つとなっています。2021年におけるBPO市場は前年と比べて5.1%増の8,856億円となっており、今後さらに需要が高まることが予想されています。
2021年の同市場は前年比5.1%増の8,856億円となり、2021年~2026年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は 3.9%、2026年の同市場規模は1兆717億円と予測しています。
引用:国内BPOサービス市場予測を発表(IDC)
継続する人材不足
日本では少子高齢化が進んでおり、生産年齢人口は1995年以降、総人口は2008年以降減少しています。2015年における総人口は1億2,709万人、15〜64歳が該当する生産年齢人口は7,629万人です。さらに、国立社会保障人口問題研究所における将来推計では生産年齢人口は2030年には6,773万人、総人口に至っては1億1,662万人まで減ると予測しています。
画像出典:情報通信白書 平成29年版(総務省)
総人口や生産人口が減少することにより、各企業が人材を確保するのが年々むずかしくなり長期的な経済成長に影響しています。現在でも人材不足を課題としている企業は多く、生産性を高めることが必要です。
インターネットやスマートフォンの普及
インターネットやスマートフォンが年々普及することによって、顧客は必要な情報を必要なタイミングで得られるようになりました。そのため、顧客一人ひとりのニーズに合わせた商品展開が必要です。そのため、これまで以上に顧客のニーズを把握することが重要です。
しかし、顧客のニーズは常に変化するものでありリアルタイムに把握するのは決して容易ではありません。さらに、競合他社も同じように顧客のニーズを把握した商品やサービスを展開することから、価格競争になりがちな傾向にあります。
営業業務効率化
営業代行に依頼する大きな目的の1つとして営業業務の効率化が挙げられます。ノンコアの部分の業務を外部に委託することによって営業担当者はコア業務に集中でき、生産性が高まるのです。さらに、企業が持っていないノウハウや経験を導入することでスムーズに新規事業に参入したり、新しい商品やサービスを展開できたりします。営業代行導入は業務効率化以外に新しいビジネス参入のきっかけにもなるのです。営業代行会社は豊富なナレッジを持っている場合が多く、これまでにないアプローチの導入や営業戦略の見直しまでできる場合があります。
コスト削減
人材を採用してから育成するためにはコストがかかります。そこで、営業代行に即戦力の人材を依頼することで人材コストの削減につながるのです。営業代行会社によっては、コンサルティングや営業担当者への教育をおこなっており、営業業務全体の見直しを営業代行を通しておこなうことも可能です。
国内のBPO市場規模
国内のBPO市場規模は年々増加しており、今後も需要が高まることが予想されています。
BPOサービスの市場規模
日本国内のBPOサービスにおける市場規模は2021年において4兆5,636億9,000万円であり、前年度の4兆4,428億8,980円と比較しても成長しているのがわかります。さらに、2022年以降も増加することが予想されています。
画像出典:BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)市場に関する調査を実施(2022年)(矢野経済研究所)
BPOサービスの市場規模が高まる理由
BPOサービスの市場規模が高まる理由として次のポイントが挙げられます。
- 働き方改革
- DX推進
- グローバル化
働き方改革
厚生労働省では、個々の事情にあわせて多様な働き方ができることで良い将来の展望を持てるような環境作りをすることを推奨しています。働き方改革に合わせて、時間外労働の上限制限や年次有給休暇の時季指定など、さまざまな関連した法改正が進んでいます。コア業務部分以外を外部に委託することによって、社員一人ひとりの負担を減らし長時間労働を回避することが可能です。さらに、従業員満足度が上がることから離職率が下がり、人材不足にも対応できます。
DX推進
経済産業省ではDX(Digital Transformation、デジタルトランスフォーメーション)を導入して、デジタル技術を活用してビジネスモデルを変革し、競合上の優位性を確立することを推進しています。BPOを導入することで、コア業務以外を外部企業に委託できます。社員の負担が減ることでDX推進を進めやすくなるのです。さらに、業務調査をおこなうことにより、デジタル化をするべき業務や外部委託するべき業務を見極め業務フローの改善をおこないます。
グローバル化
多くの企業は海外市場に展開を始めています。しかし、海外進出をするためには手続きが複雑で、経験豊富な人材が必要です。そこで、海外進出において実績やノウハウを持つ営業代行会社に依頼することで、手続きから進出をするための業務などを専門家に任せることによって海外進出をスムーズに進められます。
まとめ
国内におけるBPO市場は年々需要が高まっています。要因として、人材不足やグローバル化、働き方改革、DX推進などの課題解決につながりやすい点が挙げられます。今後さらに人材不足やグローバル化などが進む傾向にあり、営業業務を効率化するためにも営業代行を依頼するケースが増えていくと予想されているのです。営業代行会社にはそれぞれ特化している点や持っているノウハウなどが異なり、依頼する企業が抱える課題を解決する1つの対策方法となります。